スコットランドとタータンの話
日本はもうそろそろ紅葉の季節でしょうか。少し寒いけど、きっと一番いい時期ですね。今年は京都の紅葉を見ることができなくて寂しいです。
ちなみにヨークはもう冬のように寒いです。最低気温8度、最高14度くらいで、なんでかいつもデンマークのコペンハーゲンより寒いことに日々驚きを隠せません(笑)
今回はみんながマフラーを巻きはじめたこのタイミングで、よく見るあの柄についてお話をしようと思います。
タータンチェック、可愛いですよね。これはイギリスの伝統的な織柄なのですが、実はその裏には単なるファッションアイテムでは片付けられない、文化と歴史があるのです。
4月、ヨーク大学での英語コース初日。私の英語の先生が、こんな自己紹介をしました。
「こんにちは、私の名字は‘Lindsay’っていうの。私はヨークシャーの生まれだけど、祖先は多分スコットランド人よ」
先生はそう言って、教室の隅にあったパソコンで何やら検索を始め、
「これが‘Lindsay tartan’よ!」
そうして見せてくれたのがこの画像。
そのときは全く知識がなくて、先生が何を言っているのかわからなかったのですが、
曰く、
「スコットランドの有名な一族はそれぞれ個別の‘tartan’を持っており」、
「この柄はスコットランドのLindsay一族が伝統的に使用しているtartanである」
とのことらしいのです。
思えばこれが先生から習った最初のことであり、そんな自己紹介ができるなんて素敵だなあと思ったわけです。
4月、ヨーク大学での英語コース初日。私の英語の先生が、こんな自己紹介をしました。
「こんにちは、私の名字は‘Lindsay’っていうの。私はヨークシャーの生まれだけど、祖先は多分スコットランド人よ」
先生はそう言って、教室の隅にあったパソコンで何やら検索を始め、
「これが‘Lindsay tartan’よ!」
そうして見せてくれたのがこの画像。
そのときは全く知識がなくて、先生が何を言っているのかわからなかったのですが、
曰く、
「スコットランドの有名な一族はそれぞれ個別の‘tartan’を持っており」、
「この柄はスコットランドのLindsay一族が伝統的に使用しているtartanである」
とのことらしいのです。
思えばこれが先生から習った最初のことであり、そんな自己紹介ができるなんて素敵だなあと思ったわけです。
スコットランドのタータン事情
上でタータンのことをイギリス伝統の織柄、と紹介したのですが、正確にいうなら「スコットランドにおける伝統的な織柄」です。数種類の色を使って格子模様を作り、それをたくさん連続させることで独特の格子模様の布を作っていきます。
その歴史の中で、スコットランドを代表する氏族は、‘Clan tartan’と呼ばれる、それぞれ固有の織柄を持つようになりました。日本の家紋みたいなものですね。
先生が言っていたLindsay tartanも、このclan tartanの一種です。
一族の行事などのときに、揃いのclan tartanを制服のように着たり、戦のときは味方を見分ける意味で使うなど、日本でいう旗印のような意味も持ちました。
今ではファッション・アイテムとして世界中に広まっているので、色の好みで買ったけど、調べてみたら実はクラン・タータンだった! ってこともあるわけで。
ということで、ヨークの街でよく見かける柄について、調べてみました!
Royal Stewart
赤地に青・黄・白の線が入ったStewart家のタータン。
おそらく世界中で一番親しまれているタータンのひとつ。
Stewart家はステュアート朝があることからもわかる通り、英国王室と関係の深い一族。
ちなみに、現スコットランド女王でもあるエリザベス2世の個人タータンでもあります。
Camel Thomson
どっかで見たと思ったらバーバリー・チェックにとても近いThomsonさん家のタータン。バーバリー・チェックは、ちょっと生い立ちが違うんですが、多分このタータンと関係があるんじゃないかなーと言われています。
Thomson家は元々はMacTavishという一族だったんですが、その名前があまりにスコティッシュなので、イングランドとの合併後に不利益を恐れた族長が改名しました。
遠くから見ると真っ黒に見える、黒、緑、濃青で構成された超絶渋好み系タータン。
Black Watchとは黒い時計ではなくて黒い見張り番の意味。
かつてイギリス政府側について、他のスコットランド氏族を監視していたCampbell一族のタータンが元になっています。
そういう微妙な前歴があるのに、現在ではスコットランドを代表するタータンの一つになっている何か不思議なタータン。現ロイヤル・スコットランド連隊のregimental tartan。
ちなみにこのページの冒頭で用いた赤地に黒のタータンはMacQueenさん家のタータンです。
スコットランド出身の他の先生に聞いたところ、一つの氏族でも、状況に合わせて3つくらいのタータンを使い分けるのだそう。「ウチは緑っぽいのと、赤いのと、白っぽいのを持ってるよ!」
タータンと言っても別に伝統的なClan tartanだけではなく、もともとあったタータンを少しアレンジしたバージョンや、ファッション目的で最近作られたものもあります。
ちなみに私がエディンバラで買ったのがこのマフラー。
えへへ、可愛いでしょ。
エディンバラのタータンショップでも、「これは○○家のタータン!」みたいのはあまり主張してこないんですよね。
私もあのときは特に何も考えもせず、好みの色合いだったため購入しました。
で、あとで調べてみたところ、
Muted Blue Dress Stewart
という名前のタータンであることが判明。おお、ステュアートさん家のアレンジバージョンだったのですね。
街では、Royal Stewartっぽいのをつけている人をよく見かけます。
もしかしたらみなさんも、スコットランドのどこかのお宅のタータンを知らずに身に付けているかもしれませんね。
ちょっと面白かったサイト。
Scotland shopさんのTartan Finder。
タータンの色からタータンの名前と歴史が探れます↓
https://www.scotlandshop.com/tartan-finder.aspx?locale=ja-JP
よかったらみなさん家のタータンも調べてみてください(笑)
ドンピシャでは出てこないかもしれませんが…
ちなみにスコットランドではこんな感じで使われています。
民族衣装の生地として
スコットランドの民族衣装Kilt
膝丈スカートみたいなスコットランド特有の男性の衣装。
写真は、エディンバラの駅を降りたすぐのところでバグパイプを吹いていたおじさん。「日本から来ました」って言ったら、蛍の光を吹いてくれて何かすごい泣きそうになったけど、実はこの曲は普通にスコットランド民謡だ。
あと、エディンバラ城を訪れたときに、たまたま結婚式に遭遇して、男性陣がみんな揃いのタータン・キルトをつけていたのはかっこよかったなあ。
おみやげ物として
エディンバラに行って思ったのは、「タータンショップ多いな!」ということでした。
多分スコッチウィスキーの店より多いんじゃないかな。私があんまりお酒に興味無くて、見逃してただけかもしれないけど。
上質なスコットランド産カシミヤ+タータンで攻めてきます。
スコットランド出身の先生は、若い男の人なのですが、最近でクラン・タータンを身に付けたのは、エディンバラ大学の卒業式のときだそう。
日本の大学では女子学生が袴をつけますが、それのスコットランドバージョンですね^^
ちなみに先生はRoyal Stewartのマフラーを付けていますが、全く違うクランの出身です。
「あ、これはてきとーにそこら辺で買った」
別にスコットランド人だからと言って、クラン・タータンしか身に着けないわけではないようです。
まあ、好みの問題ですね。
番外編。
伊勢丹のバッグ
左側の紅葉みたいなのがMacMillan Ancient、右側がメンズ用でご存じブラック・ウォッチさん。
去年デザイン変更したみたいですね。
最近、日本の伊勢丹周辺でタータンがめっちゃ盛り上がってるみたいで、よくニュースが流れてくるんですが、どんな感じなんでしょう。私が「タータン」ばっかり検索しているせいだろうか。
イセタンのタータン祭り↓
http://i.isetan.co.jp/shinjuku/blog/2014/10/isetan-tartan.html
伊勢丹は、スコットランド・タータン協会から「世界で最もタータンを広めた企業」(!)なるものに表彰されたんだそうで、日本も意外とタータンに関係があるんだなーと思ったのでした。
次の記事で、意外と波瀾万丈なタータンの歴史について書いています。
ちょっとタータンとスコットランドに興味を持った! って方はぜひ見てくださいm(_ _)m
参考文献・Web page
Little book of Clans and Tartans, (2014), Glasgow: HarperCollons Publishers.
Black Watch -Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Black_Watch
Fashion news(2012年11月23日)
http://www.fashionsnap.com/news/2012-11-23/isetan-tartan/
ScotlandShop
https://www.scotlandshop.com/default.aspx?locale=en-GB
Scottish Tartan Authority
http://www.tartansauthority.com/
イセタンのタータン祭り
http://i.isetan.co.jp/shinjuku/blog/2014/10/isetan-tartan.html
クラン・タータンの画像はそれぞれWilipediaより引用。
伊勢丹のバッグはFashion news(2012年11月23日) http://www.fashionsnap.com/news/2012-11-23/isetan-tartan/ より引用。